【新製品】Musical Fidelity、コンパクト化したフォノプリアンプ「Nu-Vista Vinyl S」を発表

Musical Fidelityは、ニュービスタ技術を採用したフォノプリアンプ「Nu-Vista Vinyl S」を発表した。リファレンスモデル「Vinyl 2」の技術をベースに、よりコンパクトで手頃な価格を実現した新モデルだ。価格は£5,499 | A$12,000で、現在販売開始されている。

Nu-Vista 800.2/600.2の理想的なパートナー

新モデルは、フラッグシップVinyl 2の発表から約2年後の登場となり、Nu-Vista 800.2および600.2インテグレーテッドアンプの自然なコンパニオンとして開発された。

Musical Fidelityは長年、800.2と600.2インテグレーテッドアンプを、デジタルやフォノモジュールを内蔵しない純粋なアナログ設計として維持してきた。この決定により、Vinyl 2のエンジニアリングレベルに匹敵しながら、規模や価格面でより導入しやすい外部フォノステージの需要が生まれていた。Vinyl Sは、そのニーズに応えるために特別に設計された最初のモデルだ。

45%の小型化を実現

Musical Fidelityによると、Vinyl 2のコア回路設計と音の意図を維持しながら、機械的なフットプリントと全体的な製造コストを削減することが目標だった。その結果、シャーシは約45%小型化され、製造もより経済的になった一方で、同じバランスクラスAアーキテクチャ、ディスクリートコンポーネントレイアウト、ニュービスタ駆動出力段を保持している。

Vinyl 2の技術を継承

技術的には、Vinyl SはVinyl 2の主要な構造要素を引き継いでおり、3パートゲインアーキテクチャとスプリットパッシブイコライゼーションを採用。RIAA、Decca、Columbiaカーブをサポートする。

同社は、完全ディスクリートアナログ回路を、IC ベースのオペアンプよりも好み続けている。ディスクリート設計は、大幅に多くの設計作業を必要とするものの、より自然でダイナミックな表現を提供すると主張している。

完全バランス回路設計

Vinyl Sは完全バランス回路を特徴としており、ノイズと干渉を最小限に抑えるために設計された独立したホットとコールド信号経路を備えている。RCAとXLR出力用の個別ステージにより、両方を同時に使用できる。

カートリッジローディングも同様に柔軟で、入力ごとにMMまたはMCの割り当てが可能で、ゲインオプションは40 dBから69 dBまで対応。キャパシタンスとインピーダンス調整は、JFETスイッチングで処理される。Musical Fidelityによれば、これにより追加のノイズを導入することなく、より精密なカートリッジマッチングが可能になる。

スリムラインSシャーシ採用

物理的には、Vinyl SはMusical Fidelityの新しいスリムライン「S」シャーシを採用しているが、Nu-Vistaファミリーのシグネチャーとなっている重厚なアルミニウム構造は維持している。ケースワークはファラデーケージとして機能し、外部干渉から繊細な回路を保護する。

合理化されたアルミニウムリモコンが付属し、カラーディスプレイは最近のNu-Vistaモデル全体で使用されているインターフェイスを反映しており、入力ごとにローディング設定を保存する。

ニュービスタ管の歴史

オーディオ愛好家が知っているように、ニュービスタは元々1950年代後半に、従来の真空管に対するより信頼性が高くコンパクトな代替品として開発された。その後、スタジオテープマシンやハイエンドマイクロフォンに使用されたが、トランジスタ技術の台頭とともにほぼ姿を消した。

Musical Fidelityは1990年代初頭にこのフォーマットを復活させ、それらの初期Nu-Vistaコンポーネントは、現在では収集家によって求められるアイテムとなっている。Vinyl Sは、古い真空管ベース回路に通常伴う脆弱性なしに、ニュービスタ動作の利点を捉えることを意図した設計で、その系譜を継続している。

参考リンク / 出典

StereoNET: https://stereonet.com/news/musical-fidelity-nu-vista-vinyl-s-reimagines-vinyl-playback
Musical Fidelity公式サイト: https://www.musicalfidelity.com/