英国Regaは、Ndシリーズの新フラッグシップとなるMMカートリッジ「Nd9」を発表した。価格は£695で、現在販売開始されている。
Ndシリーズの成功を受けた新モデル
Nd9の発表は、2024年初頭のNdシリーズ導入以来の大きな成功を受けたものだ。Ndシリーズは世界中で強い需要があり、これまでに35,000ユニット以上を出荷している。Nd9は、そのファミリーを拡張し、Regaのハイエンドムービングコイルエンジニアリングの経験を活かしつつ、ムービングマグネット方式の実用性とアクセスビリティを維持した設計となっている。
MC並みの高級パーツを採用
Nd9の中心には、ファインラインヌードダイヤモンド針を装着したボロンロッドカンチレバーが配置されている。この組み合わせは、通常はプレミアムムービングコイルカートリッジに使用されるもので、Rega自身のAphelion 2などに採用されている。
Regaによると、スタイラスプロファイル自体ではなく、ボロンカンチレバーとNdマグネットアセンブリの間の機械的インターフェースが課題だったという。これを実現するため、Regaは専門の時計職人と協力し、段階的な内径を持つ超微細接続チューブを作成し、2つのコンポーネントを顕微鏡レベルの精度で接合することを可能にした。
低質量・高剛性の設計
その結果、極めて低質量、高剛性、そして迅速な応答性を実現したカンチレバーとスタイラスシステムが完成した。ボロンの剛性により、再生中のカンチレバーのたわみが少なくなり、溝の変調をより正確に伝達し、歪みを大幅に低減する。マイナー半径3ミクロンのファインラインダイヤモンドプロファイルは、溝壁の微細な変化をより高い精度でキャプチャするよう設計されており、ディテールの抽出を強化し、高周波性能を拡張する。
手作業による製造
Regaによると、Nd9は完全に手作業で製造されており、マイクロコイル巻線も含まれる。カートリッジは、改善されたポールギャップジオメトリーを持つ新しいジェネレーター設計を特徴としており、直線性の向上とクロストークの低減を実現し、より広く安定したサウンドステージをもたらす。
パラレル巻きミニチュアコイルは、38ミクロン線とチャンネルあたり1,275ターンを使用して社内で製造されており、低インダクタンスと低インピーダンスを実現している。これらの要因が、高周波特性の向上に貢献している。
ネオジムN55マグネット採用
Nd9は、RegaのネオジムN55マグネットの使用を継続している。同社はこれを商業的に入手可能な最も強力なグレードと説明している。ネオジムはムービングコイル設計では一般的だが、RegaのNdシリーズは、専用のムービングマグネット範囲全体に適用された初めてのケースであり、従来のバーマグネットMM設計よりも強力な駆動力をジェネレーターに与えている。
軽量・高剛性ボディ
カートリッジのボディは、ガラス充填ポリフェニレンスルフィドから形成されており、極めて剛性が高く軽量な素材で、厳しい公差で射出成形されている。Regaによると、低質量ハウジングはトーンアームベアリングへのストレスを軽減し、正確な機械的トラッキングに貢献する。これは、同社のムービングコイルモデルからインスパイアされたアプローチだ。
すべてのRegaカートリッジと同様に、ピボットパッドとスタイラスアセンブリには、メインボディとスタイラスハウジングの間に機械的接合部がなく、同社はこれが安定性とトラッキング精度を向上させると主張している。
サステナビリティとリビルドスキーム
Regaのサステナビリティ目標に沿って、Nd9は完全にリサイクル可能なパッケージで供給される。また、Regaリビルドスキームにも参加しており、摩耗または損傷したカートリッジは、新しいスタイラス、カンチレバー、ピボットパッドを備えた新たに再構築されたユニットと、割引価格で返品および交換できる。
価格と発売時期
Nd9は現在販売開始されており、価格は£695。その他の地域の価格は近日中に発表される予定だ。また、数々の賞を受賞したPlanar 8ターンテーブルに、割引価格で工場取り付けオプションとして提供される。