STAXは、長年にわたり静電型イヤースピーカーのリファレンスとして愛されてきた「SR-009」の後継モデル「SR-009D Electrostatic Earspeaker」を発表した。価格はA$5,690で、他地域の価格は追って発表される予定。
伝説のモデルが現代的アップデートを施して復活
オリジナルのSR-009は約10年にわたりハイエンド静電型リスニングのベンチマークとして君臨し、その独特の透明感に対する需要は途切れることがなかった。今回のSR-009Dは、復活を待ち望んでいたエンスージアストの声に直接応える形でのリリースとなる。
STAXは「車輪の再発明」ではなく、オリジナルの特性を維持しながら実用的な改良に焦点を当てた。SR-009Dは現行STAXエコシステムとの整合性を高める一連のアップデートが施されている。今年前半に発表された「SR-007S」アップデートに続く、同社の主要モデル刷新の一環でもある。
コアテクノロジーの継承
設計の核心には、3層のステンレス鋼板を原子レベルで接合したMulti-Layer-Electrode（MLER）アーキテクチャが引き続き採用されている。STAXが長年培ってきた技術であり、SR-009で定評を得た「シースルー」のような透明感と超低共振を実現する。広大で没入感のあるサウンドステージと、静電型ならではの軽やかでありながら微細なディテールを備えたサウンドが特徴だ。
実用的な改良点
最大の変更点は、着脱式・交換可能なケーブルの採用である。これは長年STAXユーザーから要望されていた機能で、メンテナンス性の向上と将来的なアップグレードの選択肢を提供する。加えて以下の改良が施されている：
- 射出成形ハウジング: 新開発のハウジングにより全体重量を軽減
- 本革イヤーパッド: 高品質なシープスキンイヤーパッドを採用
- 10段階ヘッドバンド機構: より精密なフィッティングを実現する新設計のヘッドバンド
- 軽量アルミキャリングケース: 衝撃や天候から保護するケースが付属
駆動について
他のSTAX静電型イヤースピーカーと同様、SR-009Dも専用のヘッドホンアンプ（エナジャイザー）なしでは正しく動作しない。同社のSRM-seriesエナジャイザーとの組み合わせが推奨されている。
STAXコメント
STAXのセールス＆マーケティングヘッドであるDouglas Ip氏は次のようにコメントしている：
「SR-009は常にお客様の心の中、そしてSTAXの歴史において特別な位置を占めてきました。SR-009Dでは、お客様が長年要望してきた機能でアップデートした、あの伝説的なサウンドを復活させることができ、大変嬉しく思います。よりアクセスしやすい価格帯で、比類のないリスニング体験を提供する、ハイエンド静電型オーディオの世界への理想的なゲートウェイです。」
80年以上にわたる静電型設計の歴史を持つSTAXにとって、SR-009Dの復活は主要モデルを現代の期待に合わせてアップデートしながら再訪するという姿勢を反映している。
価格・発売情報
- 価格: A$5,690（その他地域は追って発表）
- 発売: 即時発売