オーストリア・ウィーンに本社を置くPro-Ject Audio Systemsは、真空管出力ステージを搭載したCDプレーヤー「CD Box RS2 Tube」を発売した。アナログターンテーブルで世界的な名声を築いた同社が、物理メディアへの回帰トレンドに応えるハイエンドCDプレーヤーである。
物理メディア回帰の旗手
ストリーミング全盛の時代にあって、アナログレコードやCDといった物理メディアへの関心が再び高まっている。Pro-Jectはターンテーブル市場でその需要を牽引してきたが、CD Box RS2 TubeはCDというフォーマットにも同様のアプローチで臨む製品だ。
主な仕様
ドライブメカニズム
- SUOS製DM-3381ドライブ: 高品質なCD読み取りメカニズムを採用
- BlueTiger製CD-88サーボコントローラー: 正確なディスク読み取りを実現
- Red Book CD専用: CD-DA再生に特化した設計(SACD非対応)
DAC・アナログ回路
- バーブラウンPCM1796 DAC: 高評価のマルチビットDACチップを採用
- E88CC(6922/6DJ8相当)真空管出力: デュアルトライオード構成による真空管出力ステージ
- XLRバランス出力/RCAアンバランス出力: 両方の接続方式に対応
デザイン・筐体
- Pro-Ject RS(Reference Series)デザイン: 同社のハイエンドシリーズに相応しい仕上げ
- コンパクトサイズ: Box Designシリーズの伝統を継承したスリムな筐体
真空管とCDの融合
CD Box RS2 Tubeの最大の特徴は、デジタル再生機器に真空管を組み合わせた点にある。E88CC(6922/6DJ8と同等規格)は、オーディオ用真空管として定評のあるデュアルトライオードで、透明感がありながら豊かな中域を持つサウンドキャラクターで知られる。
デジタルソースの明瞭さと真空管特有の音楽性を両立させることで、CDメディアの魅力を最大限に引き出す設計思想が窺える。
Pro-Jectの技術力
Pro-Jectはターンテーブルメーカーとしてスタートし、精密なメカニズム設計で高い評価を得てきた。その技術力はCDプレーヤーにも活かされており、高品質なドライブメカニズムの選定と、振動対策を考慮した筐体設計が特徴だ。
また、同社は以前からTube Box DSなど真空管を用いたフォノステージを展開しており、真空管技術についても蓄積がある。CD Box RS2 Tubeは、それらの知見を統合した製品といえる。
価格・販売情報
- 価格: £1,749(英国)
- 販売状況: 発売中
- 国内取り扱い: 未発表(Pro-Ject製品はナスペック株式会社が輸入)
CDフォーマットへの真摯なアプローチ
CD Box RS2 Tubeは、SACDやDVD-Audioなどのハイレゾディスクには非対応だが、それはRed Book CDに最適化した設計の結果である。汎用性よりも音質を優先する姿勢は、Pro-Jectのアナログターンテーブルにも通じる哲学だ。
物理メディアの魅力を再発見したいオーディオファイルにとって、注目の選択肢となりそうである。
参考リンク / 出典
- StereoNET: https://stereonet.com/news/pro-ject-cd-box-rs2-tube-cd-player-promises-analogue-warmth
- Pro-Ject Audio公式: https://www.project-audio.com/