オーディオの世界には時として、単なる製品という枠を超え、設計者の哲学そのものが結晶化したかのような機器が登場する。それは改良や更新といった穏当な進化の産物ではなく、ある理想を追求するために既存の常識を根底から問い直す、一種の宣言である。HIFIMANが世に送り出したSUSVARA UNVEILEDは、まさにそのような存在と言ってよいだろう。これは単なるヘッドホンの後継機ではない。音響的透明性という理想の前に、物理的な「保護」という概念すらも障壁と見なした、過激な思想の顕現なのである。我々はこのヴェールを脱いだ音の真実と、そしてそれが内包する危うさと、真正面から向き合わねばならない。
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HIFIMAN SUSVARA UNVEILED — Overview
- メーカー / 型番 / 発売日 / 価格帯:
- 主要スペック:
第三者の視点 — レビューサマリー
主要媒体とコミュニティの評価を要約する。全体として技術性能は最高評価だが、グリルレス由来の脆弱性と実用上の不安が一貫して指摘される。
メディア | 引用抜粋 (和訳+原文) | 評価点 |
---|---|---|
Headfonics | 「息をのむような解像度とダイナミックレンジ。オリジナルのSusvaraと比較して改善された中域レスポンス。」“Breathtaking resolution and dynamic range. Improved midrange response compared to the original Susvara.” | 9.3/10 |
Audiokey Reviews | 「その明瞭さ、洗練の度合い、ニュアンス、そして歪みのない音楽再生能力は、今日に至るまで比類なきものである。」“Its clarity, level of refinement, its nuance, and its distortion-free music provides reproduction that is, to date, unmatched.” | DIAMOND AWARD |
WaveTheory (YouTube) | 「このヘッドホンを装着すると…その偉大さを理解するには少し時間がかかる。最初は印象的ではない。しかし、一度聴き始めると止めたくなくなる。」“and then you put this headphone on and it just it takes a little bit of time to appreciate its greatness it does not announce. itself. it’s not initially impressive. but I don’t want to stop listening to it once I start” (09:40-10:02) | N/A |
”Resolve” (Headphones.com Forum) | 「Unveiledの中域は間違いなく優れており、2kHz周辺がより充実している。…全体としてよりまとまりのあるサウンドに聴こえる。」“At the same time, the mids are definitely better on the Unveiled, being more filled in around 2khz…sounding more cohesive overall.” | N/A |
unheardlab.com | 「Unveiledは、OG(オリジナル)が持つキャラクターの多くを維持しつつ、このさらなる透明度の層を加えている。」“The Unveiled keeps a lot of that character but adds this extra layer of clarity.” | Tonal: 7/10, Value: 0/10 |
集計: 調査した10以上のソースを総合すると、評価は圧倒的に肯定的である。特に、解像度、スピード、広大なサウンドステージといった技術的性能については、ほぼ満場一致で最高峰と認められている 9。オリジナル機よりも駆動しやすくなった点も、歓迎すべき進化として広く認識されているようだ 10。
しかし、その評価の深層には興味深い分岐点が存在する。論点は「良いか悪いか」ではなく、「どのように良いか」という点にある。ある者はオリジナルよりもエネルギッシュで魅力的だと評し 11、またある者はオリジナルの方がよりスムーズでリラックスできると示唆する 12。そして、その核心にある「Unveiled」設計、すなわちグリルの撤廃という大胆な選択は、音響的なブレークスルーであると同時に、実用上の重大なリスクであると誰もが指摘している 13。
ここに、プロの批評家とエンドユーザーとの間に存在する「物語の断絶」が浮かび上がってくる。Headfonicsのような専門メディアは、「損傷のリスクが高い」ことを欠点として挙げつつも9.3/10という高評価を与え、音響的利益がリスクを上回ると結論付けている 10。一方で、自らの資金を投じたユーザーが集うフォーラムでは、その設計に対する純粋な不安が吐露される。「Susvara Unveiledは正気の沙汰ではない。…完全に剥き出しで、損傷を待っているようなものだ」 15。これは事実の矛盾ではなく、優先順位の相違に他ならない。批評家にとって斬新な性能こそが物語の中心であるが、所有者にとっては8,000ドルという投資とその脆弱性が日々の現実となる。このヘッドホンは、そのラディカルな存在によって、オーディオジャーナリズムが「工学的偉業の称賛」と「実用的な購入アドバイス」のどちらに重きを置くべきかという根源的な問いを突きつけているのかもしれない。
ヴェールを脱いだ音響哲学 — 技術的洞察と客観的測定
本機の核心は、音響純度を高めるために「物理的保護」を削ぎ落とすという明快な設計判断にある。この哲学は、主観的な聴感だけでなく、客観的な測定データによってもその正しさと影響が裏付けられている。
設計思想と技術革新
その哲学の最も先鋭的な現れが、製品名にも冠された「Unveiled」設計、すなわちドライバーを保護するグリルの完全な撤廃である。HIFIMANは、音波の反射や屈折こそが「卓越した音質を損なう最後の障害」であると断言する 3。これは、これまで同社が採用してきた「Window Shade」グリル(開口率を最大化し、反射を低減する設計)の論理的な帰結であり、音の通り道を遮る物理的障害を限りなくゼロに近づけるという執念の産物だ 17。
この剥き出しのドライバーを駆動するのが、HIFIMANのコア技術である「ナノメーター振動板」と、今回新たに採用された「銀導体層」である。100万分の1メートル以下の極薄・超軽量振動板は、入力信号に対する驚異的な応答速度を実現し、比類なきトランジェント特性と低歪みをもたらす 7。そして、オリジナルのSusvaraが採用していた金の導体層を、より導電性の高い銀に置き換えたこと 8。この変更こそが、物理法則に則った必然的な性能向上を生んだ。銀の高い導電性により、インピーダンスは60Ωから45Ωへ、感度は83dBから86dBへと改善されたのである 3。これは単なるスペック上の変化ではない。かつてはスピーカー用アンプさえ必要としたオリジナル機の極端な駆動の難しさを緩和し、より多くの愛好家がその音響哲学に触れることを可能にした、実用上の大きな進歩に他ならない。
これらの革新を支えるのが、同社の多くのモデルで実績のある「ステルスマグネット」技術だ。音波の回折や干渉を最小限に抑える特殊な形状のマグネットが、音響的に「透明」な磁界を形成し、振動板から放たれた音を汚すことなくリスナーの耳へと届ける 7。
客観的データによる音響特性の解剖
これらの技術的選択が音にどう反映されるかは、客観的な測定データに克明に記録されている。Headphones.comフォーラムで公開された”Resolve”氏による精密な測定は、UNVEILEDの音響的進化が、設計者の意図に基づいた精密なチューニングの結果であることを示している 6。
周波数特性 (Frequency Response)
オリジナルSusvaraとの比較グラフは、UNVEILEDの音作りにおける明確な意図を浮き彫りにする。
-
2kHz付近の充実: 最も注目すべき変化は、2kHzを中心とする中音域のエネルギーがオリジナルよりも充実している点である。この帯域は、人間の聴覚が最も敏感であり、ボーカルの明瞭度や楽器の基音の存在感を決定づける極めて重要な領域だ。オリジナルSusvaraのやや「控えめ」で「上品」と評された中域は、このチューニングによって、より「前面」に出て「直接的」で「生き生きとした」プレゼンテーションへと変貌を遂げた 。多くのレビュアーが指摘する「より前方定位する中域」9 という主観的印象は、この測定結果によって客観的に裏付けられる。これは、単なる副産物ではなく、音楽とのエンゲージメントをより深めるための、計算され尽くした「リ・ヴォイシング」に他ならない。
-
11kHz付近の抑制: もう一つの重要な変化は、11kHz付近の超高域ピークがオリジナルよりも抑制されている点である 6。この帯域は、音の「空気感」や微細なディテールに寄与する一方で、過剰になると聴き疲れや刺々しさの原因となりうる。オリジナルSusvaraは、この領域に一部のリスナーが疲労を感じる可能性のあるエネルギーを持っていたが、UNVEILEDではこれが巧みに抑制されている。これにより、長時間のリスニングでも快適性を損なうことなく、高解像度なサウンドを享受できるようになった。
これらの周波数特性の変化は、HIFIMANが市場からのフィードバックを真摯に受け止め、自らのフラッグシップサウンドを戦略的に進化させた証左と言える。それは、グリルの撤廃という物理的な革新と並行して行われた、音響心理学に基づいた精密な音質チューニングなのである。
高調波歪み (Total Harmonic Distortion - THD)
UNVEILEDのドライバーがいかに卓越した性能を持つかは、高調波歪み(THD)の測定結果を見れば一目瞭然である。この点は、オリジナルSusvaraからの最も重要な改善点の一つと言える。
オリジナルSusvaraは、その優れた音質にもかかわらず、一部の精密な測定において、特に大音量下での歪み特性が課題として指摘されていた。Audio Science Reviewの測定では、114dBSPLといった極端な音圧レベルに達すると歪みが急激に増加し、ドライバーがクリッピング(底付き)を起こす現象が報告されており、「設計上の問題」の可能性が示唆されていた 。
これに対し、Susvara Unveiledは、この課題を完全に克服している。Resolve氏による測定では、95dB、105dB、そしてオリジナル機が問題を示した114dBという拷問的な音圧レベルですら、歪み率は大部分で2%以下という極めて低いレベルに抑えられている 。
この驚異的な低歪み特性こそが、「透明性」や「解像度」といった主観的な評価の客観的な基盤である。ドライバーが入力信号に対して極めてリニアに動作し、余計な付帯音(歪み)を発生させないため、録音に含まれる微細なニュアンスまで忠実に再現することができるのだ。さらに、この優れたリニアリティは、イコライゼーション(EQ)への高い耐性をもたらす。レビューで指摘されているように、ユーザーが低域をブーストするようなEQを適用しても、ドライバーが破綻することなく、クリーンでパワフルな低音を再生できるのは、この揺るぎない低歪み性能のおかげである 。これは、オリジナル機では困難だった、より積極的な音質カスタマイズの可能性をユーザーに提供する、実用上非常に大きなメリットと言える。
過渡応答と減衰特性 (Transient Response and Decay)
「Unveiled」設計の真価は、過渡応答特性にこそ現れる。Resolve氏のExcess Group Delay(GD)測定では、問題となるようなリンギング(共振)や内部共鳴は見られず、ヘッドホンがミニマムフェイズ(最小位相)特性を維持していることが確認できる 6。これは、グリルの撤廃が音響的な純度向上に直接的に寄与していることを示唆している。
そのメカニズムはこうだ。従来のヘッドホンでは、ドライバーの背面から放射された音波がグリルで反射し、振動板に不要な干渉を引き起こす可能性があった。これが、特定の周波数での共振や、インパルス応答後の不要な「響き」として現れる。オリジナルSusvaraが一部で「ソフト」な音 40 や長い減衰時間 14 を指摘されたのは、この影響と無関係ではないかもしれない。UNVEILEDでは、この反射源そのものであるグリルを取り除くことで、音波が妨げられることなく空間に拡散される。これにより、振動板はより自由に、そして正確に動くことができ、結果として「俊敏で」「規律正しい」 と評される、クリーンで自然な減衰特性が実現される。レビュアーが口を揃えて賞賛する「巨大で」「ホログラフィックな」「スピーカーライクな」サウンドステージ は、この物理的な開放性がもたらした必然的な帰結なのである。
頂上決戦 — 競合製品との比較
この頂上決戦の舞台において、ライバルたちもまた、それぞれ異なる哲学を掲げている。
特徴 | HIFIMAN Susvara Unveiled | Audeze LCD-5 | Abyss AB-1266 Phi TC | Focal Utopia 2022 |
---|---|---|---|---|
ドライバー方式 | 平面磁界駆動型 | 平面磁界駆動型 | 平面磁界駆動型 | ダイナミック型 (ベリリウム) |
インピーダンス | 45 Ω | 14 Ω | 47 Ω | 80 Ω |
感度 | 86 dB/mW | 90 dB/mW | 88 dB/mW | 104 dB/mW |
重量 | 430 g | 420 g | 640 g | 490 g |
価格 (USD) | $8,000 | ~$4,500 | ~$5,995 | ~$4,999 |
主要技術 | Unveiled設計, 銀導体 | Fluxor™ Magnet, Fazor™ | 66mm TC Driver | ’M’シェイプ・ベリリウムドーム |
出典: 3
この比較表が示すのは、単一の「正解」が存在しないという事実である。Focal Utopiaはダイナミックドライバーの利点を活かし、圧倒的な能率で使いやすさを追求する 23。Audeze LCD-5は極端な低インピーダンス設計で、特定の高電流アンプとの組み合わせを前提とする 20。Abyssは重量を厭わず、物理的なインパクトを極限まで高める道を選んだ 25。その中で、Susvara Unveiledのスペックは、オリジナル機が持っていた「駆動の難しさ」という特異点から、平面駆動型の中心的な領域へと戦略的に回帰したことを示している。これは、HIFIMANが自らの哲学の核(ナノメーター振動板、ステルスマグネット)を妥協することなく、その門戸をわずかに広げるための、計算され尽くした進化なのである。
音の風景 — 試聴インプレッション
技術的洞察がいかに精緻であっても、オーディオ機器の真価は、それが奏でる音そのものによってのみ語られる。
レビュアー / 媒体 | 引用抜粋 (和訳+原文) |
---|---|
Bloom Audio | 「ディテールと解像度は、従来のヘッドホンで達成された中で史上最高レベルにある。…クリアで正確な音の表現と、魅力的な音楽性が見事に融合している。」“The detail and resolution are among the best ever achieved in a conventional headphone, giving Susvara Unveiled a sublime mix of clear, accurate representation of the sound and engaging musicality.” |
Audio46 | 「Susvara Unveiledは、スタジオ環境を忠実に模倣するスピーカーのような品質を持っている。まるでヘッドホンで聴いている気がしない。」“the Susvara Unveiled has a speaker-like quality that genuinely mimics a studio setting. It feels like you’re not listening to headphones at all.” |
Audiokey Reviews | 「そのマイクロダイナミクスは静電型ヘッドホンのレベルにある。…しかし、静電型が一般的に軽やかで ethereal(空気のよう)に感じられるのに対し、Susvaraはそれに加えて重みと実体感をもたらす。」“…its microdynamics are on the level of an electrostatic headphone… but where electrostatics can, in general, seem more ethereal, lighter, the Susvara brings a concurrent weight and solidity…” |
- サウンドステージとイメージング: 間違いなく、最も劇的な進化を遂げた領域である。「巨大」「ホログラフィック」「スピーカーライク」といった言葉で形容されるその音場は、もはやヘッドホンのスケールを超えている 3。ハンス・ジマーの『Dune』サウンドトラックのような広大なオーケストラ録音を聴けば、その真価は明らかだ。音は頭内から解放され、リスニングルームの壁をも越えて無限に広がるかのように感じられる。楽器の定位は極めて明瞭かつ立体的で、残響の消えゆく様は驚くほど自然である 9。これは、グリルの排除によって音波の回折や反射が取り除かれた直接的な恩恵に違いない。
- 低域: UNVEILEDの低域は、量感で圧倒するタイプではない。むしろ、その俊敏さ、質感の高さ、そしてスピード感にこそ本質がある 28。初代の「豊潤」と評された低域に対し、UNVEILEDはより「規律正しい」と表現するのが適切だろう。深く沈み込みながらも中域とのバランスを決して崩さず、音楽の土台を堅固に支える。また、EQへの追従性も高く、ユーザーの好みに応じてインパクトを付加することも容易である 39。
- 中域: 本機におけるもう一つの重要な進化点が、この中音域である。初代のやや「控えめ」で「上品」とされた表現は、より「前面」に出て「直接的」で「生き生きとした」プレゼンテーションへと変貌を遂げた 28。これにより、ボーカルや楽器の存在感が際立ち、リスナーは音楽に対してより直接的で感情的な繋がりを感じることができる。これは単なる特性の変化ではなく、音楽との関わり方をより親密なものへと変えようとする、明確なチューニング思想の表れであろう。
- 高域: 「空気感」という言葉がこれほど似合う高域も珍しい。どこまでも伸びやかで、ディテールに富み、それでいて耳障りな刺激とは無縁である 26。グリルレス設計は、汚染のない純粋な高域の再生に大きく貢献している。一部のレビュアーは、初代よりも超高域の疲労感が少ない一方で、中高域の鋭さが増し、録音の粗をより露わにする傾向を指摘している 6。これは、透明性がもたらす諸刃の剣と言えるかもしれない。
ここで、一つの重要な考察を提示したい。多くの開放型ヘッドホンが数デシベル程度のパッシブな遮音性を持つのに対し、SUSVARA UNVEILEDの遮音性は文字通り「ゼロ」である 11。リスナーは、ヘッドホンを装着していないかのように周囲の環境音を聴くことになる。さらに、背面のグリルが存在しないということは、ドライバーの背面波が、従来のいかなるヘッドホンよりも直接的にリスニングルームの音響特性と相互作用することを意味する。
この完全な開放性は両刃の剣である。ドライバーを覆うグリルという最後のヴェールさえも取り払ったことで、音は一切の妨げなく耳へと届くが、同時に、リスニングルームの環境そのものが再生音と不可分に結びつくことを意味するからだ。
PCのファンノイズや空調の微かな響きは、もはや単なる背景音ではない。それらは音楽の最も繊細なディテールを覆い隠すノイズとなり、壁面の反響はヘッドホン本来の音色を直接的に変質させる。
これは、本機がその真価を発揮する舞台として、他のいかなる開放型ヘッドホンをも凌駕するほどの静寂と、音響的に整えられた空間を絶対条件とすることを、我々に突きつけているのだ。
これらの聴感を、音楽ジャンルごとの分析を通じてさらに深く掘り下げていきたい。
クラシック音楽において、このヘッドホンは真価を発揮する。マーラーの交響曲第2番「復活」を再生すると、コンサートホールの広大な空間が頭外に再構築される。弦楽器群、管楽器群、合唱団が、それぞれ明確な定位と奥行きをもって配置される「ホログラフィックなプレゼンテーション」 9 は、まさに圧巻の一言だ。これは、グリルの撤廃によって音響的な反射が極限まで排除され、録音に含まれる純粋な空間情報だけが抽出された結果に違いない。ティンパニの強打からトライアングルの微かな響きまで、そのダイナミックレンジは広大無辺である。
ジャズでは、その静電型に比肩するスピードと解像度が、生々しいリアリズムを生み出す。Audio46のレビューで言及されたフレディ・ハバードの「Red Clay」におけるトランペットのベルの微細な動き 26 は、誇張ではない。ライドシンバルのレガートが刻む一音一音のテクスチャー、サックス奏者の息遣い、ウッドベースの弦が指板に触れる音。ナノメーター振動板の高速な応答性が、そうした音楽の微細な表情(micro-dynamics)を余すところなく描き出す。
電子音楽やサウンドトラックでは、その深く、質感豊かな低域に驚かされる。ハンス・ジマーの『デューン 砂の惑星 PART2』のサウンドトラックを聴けば、地を這うような重低音が身体を揺さぶるのを感じるだろう 9。しかし、その低音は決して膨らんだり、不明瞭になったりすることはない。あくまでタイトで、俊敏で、極めてテクスチャー豊かである 28。これは、大振幅時でもドライバーが歪みなく正確に動作している証左に他ならない。
ヴォーカルでは、オリジナル機よりもわずかに前方へと定位する、親密な表現が際立つ 9。フリートウッド・マックの「Landslide」を聴けば、スティーヴィー・ニックスの声のかすれ、息継ぎ、感情の機微といった「あらゆるディテール」が、まるで耳元で囁かれているかのように生々しく伝わってくる 9。これは測定データで示された2kHz付近の充実感と無関係ではあるまい 6。
これらの体験を通じて見えてくるのは、SUSVARA UNVEILEDの真の特性が、単なる「広大なサウンドステージ」や「高い解像度」といった個別の要素ではなく、それらが矛盾なく両立する**音響的コヒーレンス(整合性)**にある、ということだ。多くのヘッドホンは、広大な空間表現を得意とする代償として音像が拡散しがちであったり(例:Sennheiser HD 800)、あるいは力強く親密な音像を提示する代わりに空間が窮屈になったりする(例:Focal Utopia 27)。しかし、Unveiledは「スタジアムサイズの音の壁」と「手の届く距離での親密な演奏」を、同じ一つの機器で、録音に応じて自在に描き分ける 9。これは、グリルの撤廃によって人工的な響きや空間の付与が最小化され、録音物そのものが持つ空間的特徴を、かつてない忠実度で再現できるようになったからではないだろうか。その「自然さ」とは、ヘッドホンが自らの個性を主張するのではなく、ソースに含まれる情報の純度を最大限に保つことで達成される、究極のパッシビティ(受動性)の現れなのかもしれない。
価値の天秤 — 評価と分析
SUSVARA UNVEILEDは、その絶対的な性能ゆえに、従来の価値基準で測ることが極めて困難な製品である。ここでは、複数の評価軸を用いてその多面的な価値を冷静に分析し、その功罪を明らかにしたい。
評価軸 | 採点 (5点満点) | 解説 |
---|---|---|
技術性能 | ★★★★★ | 間違いなく現行最高水準。Unveiled設計、銀導体ドライバー、ステルスマグネットの組み合わせは、静電型に匹敵するスピード、クラス最高の解像度、そして比類なき自然で広大な音場を実現する。歪みも極めて低い。 6 |
音楽的魅力 | ★★★★☆ | 極めて没入感が高く、魅力的。自然な音色とホログラフィックな音像は、音楽との深い結びつきを生む。ただし、その表現はオリジナル機の持つリラックスした性格とは異なり、よりエネルギッシュで前方定位する傾向があるため、全てのリスナーの好みに合うとは限らない。 11 |
ビルドクオリティ | ★★☆☆☆ | この製品のアキレス腱。フレームの金属素材などは高品質だが、剥き出しのドライバーという設計は極端な脆弱性を内包する。他のいかなるヘッドホンをも凌駕するレベルの慎重な扱いを要求し、所有者に常に不安を強いる。マグネティック・ヴェールは機能的だが、エレガントな解決策とは言い難い。 13 |
価格対価値 | ★☆☆☆☆ | 8,000ドルという価格は、もはや伝統的な費用対効果の指標が無意味になる領域にある。性能が絶対的な頂点にあることは確かだが、収穫逓減の法則はあまりにも大きい。競合他社は、はるかに低いコストで、この性能の95~98%を提供している。コストを度外視できる一部の購入者を除き、価値の提案としては極めて乏しい。 11 |
将来性 / 修理性 | ★★☆☆☆ | 極端な脆弱性は、長期的な耐久性に対する深刻な懸念を提起する。埃、髪の毛、あるいは不慮の接触が、ドライバーの致命的な故障につながる可能性がある。HIFIMANの修理サービスは存在するが、従来設計のヘッドホンと比較して、高額な修理が必要となる確率は格段に高いと言わざるを得ない。 13 |
バイアス・チェック:
この評価のバランスを取るため、ポジティブとネガティブな要素を改めて列挙する。
ポジティブ要素: 比類なき音の透明性、自然さ、そして空間のリアリズム。真の「エンドゲーム」級のディテールと解像度。前モデルから改善された駆動の容易さ。そのサイズに比して優れた快適性 10。
ネガティブ要素: 法外な価格(8,000ドル)。ドライバーが剥き出しであることによる極度の物理的脆弱性と、それに伴う所有上の大きな不安。マグネティック・ヴェールという不格好な必須の付属品。技術的に見事ではあるが、オリジナル機のファンにとっては必ずしも普遍的なアップグレードとは言えない、よりエネルギッシュな音質傾向。
この評価から導き出されるのは、SUSVARA UNVEILEDを一般的な消費者製品として評価すること自体が、ある種のカテゴリーエラーであるという可能性だ。unheardlab.comが価値評価を0/10としたのは、消費者視点に立てば論理的かつ完全に正しい 28。しかし、この種の製品は、そもそも一般的な消費者のために作られてはいないのではないか。
それはむしろ、自動車業界における「コンセプトカー」に近い存在と捉えるべきかもしれない。その価値は実用性や価格妥当性にあるのではなく、あらゆる実用上の制約を放棄した時に、音響技術が到達しうる絶対的な限界点を提示するという、その「声明」そのものにある。グリルをなくすという非実用的な設計は、F1マシンが公道を走れないのと同じく、欠点であると同時に、その妥協なきアイデンティティの証左でもある。したがって、その真の価値は、オーディオ再生という芸術と科学への貢献にこそ見出されるべきだろう。かつてSusvaraの技術がAnanda NANOのような下位モデルへと波及したように 32、この過激な概念実証機がもたらした知見が、いつかより実用的な形で我々の耳に届く日を期待させる。その価格と脆弱性は、その未来を垣間見るための代償なのである。
頂点の、その先へ — HIFIMANの系譜と市場における存在意義
SUSVARA UNVEILEDという製品を正しく位置づけるには、HIFIMANというブランドが歩んできた道程と、ハイエンドオーディオ市場という生態系におけるその特異な立ち位置を理解する必要がある。
HIFIMANの歴史は、創業者であるファン・ビアン博士の個人的な探求心から始まった 33。初期の平面駆動型モデルHE5が、木製イヤーカップのひび割れという品質問題に直面した逸話は象徴的である 1。同社は常に、洗練された仕上げや堅牢性よりも、音響性能の限界を押し広げるための技術的挑戦を優先してきた。ナノメーター振動板、ステルスマグネットといった革新は、すべてその哲学の産物だ 7。そしてSUSVARA UNVEILEDは、その「性能至上主義」という思想が、あらゆる建前や常識というヴェールを脱ぎ捨てて結晶化した、最も純粋な姿と言えるだろう。
HIFIMANの「ハウスサウンド」とは、広大で開放的なサウンドステージ、精緻で空気感に富む高域、そして平面駆動型ならではの速く明瞭な低域に特徴づけられる 17。SUSVARA UNVEILEDは、そのハウスサウンドの理想を、物理的制約を取り払うことで極限まで先鋭化させたものに他ならない。
現代のフラッグシップヘッドホン市場は、さながら技術的頂点を競う「軍拡競争」の様相を呈している。その中で、各ブランドは異なる道筋で音の涅槃を目指している。
- Abyss (AB-1266 Phi TC): 物理的な衝撃と圧倒的なパワーによる道 36。
- Focal (Utopia 2022): ダイナミックドライバーの完成度、スピード、そしてパンチ力を追求する道 27。
- STAX (SR-X9000): 静電型の純粋性と、空気のように軽やかなディテールを極める道。
- HIFIMAN (SUSVARA UNVEILED): そして、究極の音響的透明性と、自然な空間再現性を目指す道 29。
ここで注目すべきは、SUSVARA UNVEILEDが提示する設計思想が、フラッグシップにおけるパラダイムシフトの可能性を秘めている点である。それは「洗練(Refinement)」から「削減(Reduction)」への移行だ。Focalが新しいボイスコイルを追加し 38、Audezeが新たなFazor構造を導入する 20 といった「付加的」な進化に対し、HIFIMANの最も重要な革新は「グリルを取り除く」という「減算的」な行為であった。
これは、「加えるものがなくなった時ではなく、取り去るものがなくなった時に完璧は達成される」という、古典的ながらも強力な設計哲学を想起させる。HIFIMANは、ヘッドホンという物理的構造物そのものが最大の歪みの源であると喝破し、振動板と磁界という本質的要素以外を極限まで削ぎ落とすことで、より純粋な音響再生に迫ろうとしているのではないか。このミニマルかつリダクショニストなアプローチは、より複雑で付加的な工学を志向するライバルたちへの、強烈な哲学的カウンターポイントとなっているのである。
結論 — この音は誰のためにあるのか
HIFIMAN SUSVARA UNVEILEDは、保護グリルを完全に撤廃するというラディカルな手法によって、音の自然さ、透明性、空間再現性において新たな地平を切り開いた。その音響性能は疑いようもなく最高峰である。しかし、その偉業は、極度の脆弱性と法外な価格という、あまりにも大きな代償の上に成り立っている。それは、市場で最も評価の分かれる製品の一つとなる宿命を背負っていると言えよう。
- おすすめしたい人:
- コストを度外視し、究極の音響的透明性を何よりも優先するオーディオファイル。
- 静かで整えられた専用のリスニングルームを持ち、機材を細心の注意を払って扱える人物。
- 平面駆動型のサウンドステージとリアリズムの頂点を体験するため、強力で高品質なアンプへの投資を惜しまない探求者。
- やめた方が良い人:
- 8,000ドルという価格が、経済的に大きな負担となる全ての人。費用対効果という概念はこの製品には適用されない。
- ペットや子供がいる環境、あるいは埃の多い場所で音楽を聴く人。損傷のリスクが計り知れないほど高い。
- よりパワフルで衝撃的な、あるいは「楽しい」音を好む人。その場合はAbyssやFocalの方が適しているだろう。
- オリジナルSusvaraの、よりリラックスした穏やかな音調を愛する人。Unveiledのエネルギッシュな性格は、必ずしも好ましい変化とは感じられないかもしれない。
将来性と改造の可能性: この製品の設計は極めて特殊であり、改造の余地はほとんどなく、また推奨もされない。将来性があるとすれば、この「Unveiled」というコンセプトが、より実用的で安価な形で下位モデルに展開される可能性にこそあるだろう。
総合評価: ★★★☆☆ (3.5/5)
純粋な音響性能だけを評価すれば、満点の五つ星に値する。しかし、実用性、耐久性、そして価値という観点における致命的な欠陥を考慮すれば、星を大きく減じざるを得ない。これは音響工学のマスターピースであると同時に、消費者製品としては深刻な欠陥を抱えた存在だ。この評価は、その深遠なる二律背反を反映したものである。それは、最大限の注意喚起と共にのみ推奨されうる、条件付きの傑作なのである。
引用文献
1. HiFiMan - Wikipedia, https://en.wikipedia.org/wiki/HiFiMan
2. Hifiman Susvara Unveiled Review - Headfonia, https://www.headfonia.com/hifiman-susvara-unveiled-review/
3. HiFiMAN Susvara Unveiled | Flagship Planar Magnetic Open-Back Headphones, https://bloomaudio.com/products/hifiman-susvara-unveiled-2024
4. SUSVARA UNVEILED - Hifiman’s Store, https://store.hifiman.com/index.php/susvara-unveiled.html
5. HiFiMAN SUSVARA UNVEILED 価格比較, https://kakaku.com/item/K0001633766/
6. Hifiman Susvara Unveiled Planar Magnetic Headphones - Official …, https://forum.headphones.com/t/hifiman-susvara-unveiled-planar-magnetic-headphones-official-discussion-thread/23514
7. HIFIMAN PLANAR MAGNETIC TECHNOLOGY, https://hifimancanada.ca/pages/hifiman-planar-magnetic-technology
8. SUSVARA UNVEILED说明书英文 - Sound Approach, https://soundapproach.com/pub/media/pdfs/susvara-unveiled-user-guide.pdf
9. Ultimate Sound Revealed: HIFIMAN Susvara Unveiled Review - Bloom Audio, https://bloomaudio.com/blogs/articles/ultimate-sound-revealed-hifiman-susvara-unveiled-review
10. HIFIMAN Susvara Unveiled Review - Headfonics, https://headfonics.com/hifiman-susvara-unveiled-review/
11. Ultimate Flagship With Boundless Sound - HIFIMAN Susvara Unveiled - Audiophile-Heaven, https://www.audiophile-heaven.com/2025/03/ultimate-flagship-with-boundless-sound-hifiman-susvara-unveiled.html
12. HiFiMAN Susvara Unveiled Headphones - Hifi Pig, https://www.hifipig.com/hifiman-susvara-unveiled-headphones/
13. HiFiMan Susvara Unveiled Headphone Review - YouTube, https://www.youtube.com/watch?v=WI1gnx2tD7s
14. Hifiman Susvara Unveiled Review (TechPowerUp) : r/headphones - Reddit, https://www.reddit.com/r/headphones/comments/1e0tctb/hifiman_susvara_unveiled_review_techpowerup/
15. Susvara Unveiled - Yes, but at what cost? : r/headphones - Reddit, https://www.reddit.com/r/headphones/comments/1eebp92/susvara_unveiled_yes_but_at_what_cost/
16. HiFiMAN Susvara Unveiled - Woo Audio, https://wooaudio.com/headphones/susvara-unveiled
17. HIFIMAN Arya Stealth Magnets 2021 Planar Magnetic Headphones review, https://addictedtoaudio.com.au/blogs/reviews/hifiman-arya-stealth-magnets-2021-planar-magnetic-headphones-review
18. HIFIMAN SUSVARA nanometer-diaphragm/stealth-magnets Headphone AUTHORIZED-DEALER | eBay, https://www.ebay.com/itm/116228885354
19. Audeze LCD-5 | Open-Back Planar Magnetic Headphones-Bloom Audio, https://bloomaudio.com/products/audeze-lcd-5
20. Audeze LCD-5 Flagship Planar Headphones for Audiophiles, Open-Back, https://www.audeze.com/products/lcd-5
21. The best sounding headphone on the planet — Abyss AB 1266 TC - YouTube, https://www.youtube.com/watch?v=RN34PvW0C-U
22. Abyss AB-1266 Phi TC Reference Headphone - HeadAmp, https://www.headamp.com/products/abyss-ab-1266-phi-tc
23. Utopia - Reference open-back hi-fi headphones - Focal, https://www.focal.com/products/utopia
24. Focal Utopia 2022 Open-Back Headphones - Audio46, https://audio46.com/products/focal-utopia-2022-open-back-headphones
25. Abyss AB-1266 PHI TC Planar Magnetic Headphones - Black - Hifonix, https://hifonix.co.uk/detail/abyss-ab-1266-phi-tc-planar-magnetic-headphones-complete-pack-black/
26. HifiMan’s Susvara Unveiled Review - A New Era of Sound - Audio46, https://audio46.com/blogs/headphones/hifimans-susvara-unveiled-review-a-new-era-of-sound
27. Focal Utopia 2022 vs. Hifiman Susvara Unveiled High-End Comparison Review - Audio46, https://audio46.com/blogs/headphones/focal-utopia-2022-vs-hifiman-susvara-unveiled-high-end-comparison-review
28. Hifiman Susvara Unveiled review: a fresh take on the classic sound - unheardlab.com, https://unheardlab.com/2025/06/17/hifiman-susvara-unveiled-review-a-fresh-take-on-the-classic-sound/
29. HIFIMAN SUSVARA UNVEILED - REVIEW — AUDIOKEY REVIEWS, https://www.audiokeyreviews.com/the-reviews/hifiman-susvara-unveiled
30. Susvara (4 month review) : r/headphones - Reddit, https://www.reddit.com/r/headphones/comments/1bxyxz7/susvara_4_month_review/
31. HIFIMAN Susvara Unveiled Planar Magnetic Headphone Review - HomeTheaterHifi.com, https://hometheaterhifi.com/reviews/headphone-earphone/hifiman-susvara-unveiled-headphone-review/
32. HiFiMAN’s ANANDA NANO Open-Back Headphones Feature Nanometer Thin Diaphragm: High-End Munich 2023 - eCoustics, https://www.ecoustics.com/products/hifiman-ananda-nano-headphones/
33. HiFiMAN first started out as a simple thought in a young man’s mind. A quasi-vision that was molded, shaped, and revisited a thousand times, until it finally became what we know it as today. They are currently a premier audio component manufacturer, who has opened a massive portal into our lives, which enriches and improves the way that we enjoy our music., https://m.hifiman.com/articles/detail/360
34. The Evolution Tree of HIFIMAN’s Planar Innovation, https://hifiman.com/evo-iem/tree.html
35. ハイエンドヘッドホン HiFiMAN Arya レビュー - audio-sound@premium, https://www.audio-sound-premium.com/review/hifiman-arya/
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38. Focal Utopia 2022 - Sonvs Apparatvs, https://www.sonusapparatus.com/2022/10/focal-utopia-2022-impressions/
39. Hifiman Susvara vs. Susvara Unveiled: Comparison Review - Audio46, https://audio46.com/blogs/headphones/hifiman-susvara-vs-susvara-unveiled-comparison-review
40. Stereophile reviews the Hifiman Susvara, https://www.stereophile.com/content/gramophone-dreams-19-hifi-man-susvara-headphones