Bowers & Wilkins 801 D4 — Overview
主要スペック | 仕様 |
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方式 | 3ウェイ・バスレフ型 |
ドライブユニット | 1x 25mm ダイヤモンド・ドーム・トゥイーター 1x 150mm コンティニュアム・コーン FST ミッドレンジ 2x 250mm エアロフォイル・コーン・ベースユニット |
周波数レスポンス | 15Hz - 28kHz (±3dB) |
感度 | 90dB (2.83Vrms/1m) |
公称インピーダンス | 8Ω (最小 3.0Ω) |
高調波歪率 | <0.3% (100Hz – 20kHz, 90dB/1m) |
推奨アンプ出力 | 50W – 1000W (8Ω) |
寸法 (H x W x D) | 1221mm x 451mm x 600mm |
重量 | 100.60kg |
出典: 20 |
I. 序論:レガシーの重み
オーディオの世界には、単なる製品という範疇を超え、文化的・技術的アイコンとして存在するコンポーネントがいくつかある。1979年の登場以来、Bowers & Wilkinsの801モデルは、間違いなくその筆頭に挙げられる存在だ 1。それは単なるラウドスピーカーではない。アビー・ロード・スタジオをはじめとする世界有数のレコーディング施設でリファレンスモニターとして採用され、音楽制作の現場そのものを定義してきた歴史を持つ、音響再生における「ベンチマーク」であり、他のハイエンド設計が判断される際の「基準」そのものである 3。
本稿で分析する801 D4は、その輝かしい血統の最新世代であり、単なるアップデートモデルとして捉えるべきではない。それは、40年以上にわたる音響的完璧さへの執拗なまでの探求の、現時点における集大成である 2。このレビューでは、その精緻なエンジニアリングを解剖し、主観的・客観的両面からそのパフォーマンスを分析し、現代の熾烈な競争環境において、801がその恐るべきレガシーを真に継承し、さらに発展させているかを検証する。
本稿の構成は以下の通りである。まず、その革新の歴史を辿り、次にD4世代に特有の技術群を深く掘り下げ、そのサウンドを批判的に分析する。さらに、その究極形であるSignatureモデルとの詳細な比較を行い、現在のハイエンド市場における本機の位置付けを明確にすることで、この記念碑的スピーカーの全体像を提示したい。
801を理解する上で極めて重要なのは、それが単なるB&Wのフラッグシップ製品ではないという点である。それは、同社の研究開発における主要なプラットフォームとして機能してきた。各世代の801は、B&Wがその時点で持ちうる最も先進的で妥協のない技術のショーケースであり、そこで確立された技術が、後に700シリーズや600シリーズといった、より多くの人々に届けられる製品群へと展開されてきた 6。初代モデルが「慣習的な設計を必然的に妥協させる、いわゆる『実用的な考慮事項』を一切無視して」最高のスピーカーを開発するという使命のもとに生まれたことからも、その立ち位置は明確である 2。マトリックス構造、ノーチラス・チューブローディング、ダイヤモンド・ドーム、そしてコンティニュアム・コーンといった、B&Wの歴史を画する革新技術は、すべて800シリーズで最初に具現化された 1。したがって、801 D4を分析することは、単一の製品を評価することに留まらず、Bowers & Wilkinsという企業の技術哲学の最先端を検証することに他ならない。
II. 革新の系譜:D4プラットフォームへの進化
関連レビュー:800シリーズの系譜

B&W Nautilus レビュー:30年の時を超えた音響彫刻の伝説と現実
Bowers & Wilkins Nautilusの30年にわたる進化と現代における立ち位置を、技術的特徴、測定データ、歴史的視点から徹底検証。音響彫刻としての価値と現代のハイエンドスピーカーとの比較分析。

B&W 805 D4 レビュー:形態は機能に従う、されど音は魂に従う
B&W 800シリーズの最小モデルでありながら、フラッグシップの設計哲学が最も凝縮されたBowers & Wilkins 805 D4。ダイヤモンド・トゥイーター、コンティニュアム・コーン、リバース・ラップ・キャビネットが織りなす音響的達成と、その明瞭で刺激的な音作りの真価を徹底検証。
801 D4の真価を理解するためには、その革新的な祖先たちが築き上げてきた道を遡る必要がある。その歴史は、連続的な改善の物語であり、各世代が音響再生の限界を押し広げてきた証左である。
創世記(1979年):パラダイムシフト
初代801の登場は、スピーカー設計の世界におけるパラダイムシフトであった。当時、設計の多くが試行錯誤に頼っていた時代に、B&Wはコンピューターモデリングとレーザー干渉法を駆使してドライバーユニットの挙動を分析するという、前代未聞のアプローチを採用した 2。この科学的アプローチから生まれたのが、低域、中域、高域をそれぞれ独立したエンクロージャーに収めるという、象徴的な3ボックスデザインである。これは「形態は機能に従う」という原則を徹底した結果であり、ユニット間の相互干渉を最小限に抑えるという音響的な必然性から導き出された形状であった。この基本理念は、今日の801 D4にも脈々と受け継がれている 1。
剛性の時代(1987年):マトリックス革命
1987年に発表されたMatrix 801は、スピーカー設計における新たな地平を切り開いた。キャビネットの共振が音の色付けの主要な原因であることを突き止めたB&Wのエンジニアたちは、内部に格子状の補強材を張り巡らせる「マトリックス構造」を開発した 1。これにより、エンクロージャーの剛性は飛躍的に向上し、不要な振動を効果的に抑制することに成功した。この発明は、業界全体がキャビネットの不活性化(inertness)の重要性を認識するきっかけとなり、B&Wの設計思想における長年の強迫観念ともいえる「キャビネットの静寂性」の追求を決定づけた 9。
有機的フォルム(1990年代):ノーチラスの影響
1993年に発表された、カタツムリのような彫刻的デザインを持つ「ノーチラス」は、B&Wの技術的可能性を大胆に示した作品であった。特に、ドライバーユニットの背圧を先細りのチューブで吸収・消散させる「チューブローディング技術」は画期的であり、その後の800シリーズに多大な影響を与えた 1。この技術は、高域用のツイーター・オン・トップ・ハウジングを後方に長く伸ばした形状として取り入れられ、同時にキャビネット全体も従来の箱型から、より有機的で曲線的なフォルムへと進化していった。
材料科学の時代(2005年~2015年):ダイヤモンドとコンティニュアム
21世紀に入ると、B&Wの革新は材料科学の領域へと深く踏み込んでいく。
ダイヤモンド・トゥイーター(D1/D2)
2005年、800シリーズは初めて「ダイヤモンド」の名を冠した。高域用トゥイーターの振動板に、人工的に生成したダイヤモンドを採用したのである 1。ダイヤモンドは、その比類なき剛性と軽さの比率により、分割振動(breakup)の周波数を人間の可聴域をはるかに超えるkHz以上にまで押し上げることを可能にした 1。これにより、高域の透明度と解像度は前例のないレベルに達した。
コンティニュアム・コーン(D3)
2015年に登場したD3シリーズは、長年B&Wの象徴であった黄色いケブラー製ミッドレンジコーンとの決別を意味した。それに代わって採用されたのが、8年間の歳月をかけて自社開発した新しい複合織物素材「コンティニュアム・コーン」である 2。ケブラーよりも制御された分割振動特性を持つこの新素材は、中音域の透明性を劇的に向上させ、B&Wが素材開発からドライバー製造までを一貫して行う垂直統合型メーカーとしての実力を改めて証明した 4。
III. サウンドの科学:D4アーキテクチャへのディープダイブ
2021年に発表された800 D4シリーズは、外観こそD3シリーズと似ているが、その内部はほぼすべてのコンポーネントが再設計された、包括的なエンジニアリングの結晶である 11。その開発は、D3のリリース直後から開始されており、まさにB&Wの技術進化の最前線と言える 12。
キャビネット:静寂の礎
リバース・ラップ・キャビネット
D4シリーズでは、これまで上位モデルに限定されていた「リバース・ラップ・キャビネット」構造が、すべてのステレオペアモデルに採用された 11。これは、複数の木材の層を熱と圧力で曲げ、一体成型のシェルを形成する技術である。継ぎ目を最小限に抑え、前面のバッフル面積を減らすことで、音の回折を低減し、より優れた音響放射特性を実現している 10。
究極のマトリックス™
長年の伝統であるマトリックス構造も、D4で究極の形に進化した。従来の合板による格子構造に加え、新たに厚さmmのスチールプレートと堅牢なアルミニウム製の垂直・水平セクションが組み込まれ、フレーム全体がバッフルに強固に結合されている 3。これにより、あらゆる方向からの応力に対して驚異的な剛性を発揮し、キャビネットの不要な振動を事実上ゼロに近づけている 11。

アルミニウム・トッププレート&プリンス
エンクロージャーの天面には、新たにソリッドアルミニウム製のトッププレートが採用された。これは単なる化粧板ではなく、キャビネット全体の剛性を高める構造部材として機能し、その上に搭載されるヘッドアッセンブリーのための、より安定したプラットフォームを提供する 12。表面は、フェラーリやアストンマーティンにもレザーを供給する英国の名門、コノリー社製の豪華なレザーで覆われている 1。スピーカーの土台となるプリンス(台座)もソリッドアルミニウム製となり、内部に鋼鉄製の制振シートを挟み込んだコンストレインド・レイヤー・ダンピング構造を採用することで、盤石の安定性を確保している 14。
ヘッドアッセンブリー:声の分離
タービン™・ヘッド
涙滴型のミッドレンジ用エンクロージャー「タービン・ヘッド」は、剛性と適切なダンピングを両立させたソリッドアルミニウム製である。D4では、内部のダンピング材が改良され、低域キャビネットからのデカップリング(分離)機構もさらに洗練されたことで、中音域への振動伝達が徹底的に排除されている 6。

ソリッドボディ・トゥイーター・オン・トップ
トゥイーターは、一本のアルミニウム塊から削り出されたハウジングに収められている。D4ではこのハウジングが約cm(12インチ)まで伸長され、より長いチューブローディング・システムを形成している 10。これにより、トゥイーターの振動板から後方へ放射される不要なエネルギーをより効果的に吸収・減衰させ、より開放的で自由な高域再生を実現した 12。
ドライバー:サウンドの心臓部
ダイヤモンド・ドーム・トゥイーター
D4のダイヤモンド・ドーム・トゥイーターは、モーターシステムが改良され、従来の3つから2つのネオジム磁石に変更された。さらにボイスコイルの通気性を高めることで、ドーム背後の空気圧縮を低減し、より自由な動きを可能にしている 12。
エアロフォイル™・コーン・ベースユニット
コンピューターモデリングを駆使して開発された、翼のように断面の厚みが変化する複合素材コーン「エアロフォイル」も進化を遂げた。D4のウーファーには、ボイスコイルの変形を防ぐ新しいフォーム製アンチ・レゾナンス・プラグが搭載され、モーターシステムもより大電流に対応できるようアップグレードされている 12。
ブレークスルー:バイオミメティック・サスペンション
D4シリーズにおける最も画期的で、音質に絶大な影響を与える革新が、この「バイオミメティック・サスペンション」である。これは、B&Wが15年近くの研究開発の末にたどり着いたブレークスルーだ 4。
従来、ミッドレンジドライバーのボイスコイルを支えるために、布製の「スパイダー(ダンパー)」が不可欠であった。しかし、B&Wのエンジニアたちは、このスパイダー自身がコーンの動きに伴って前後に動き、不要な空気圧変動や固有の音(ノイズ)を発生させ、中音域の透明度を損なう主要因であることを突き止めていた 11。
バイオミメティック・サスペンションは、この伝統的な布製スパイダーを完全に排除し、代わりに最小限の骨格で構成されたオープンなフレーム構造を採用した 3。この「生体模倣」の名を冠したサスペンションは、ボイスコイルを正確にセンタリングするという本来の機能は維持しつつ、スパイダーが引き起こしていた寄生的なノイズを根本から取り除くことに成功した。B&Wが「信じられないほどの中音域の透明性」と謳うのも、この革新的な技術があればこそである 6。

クロスオーバー:オペレーションの頭脳
D4シリーズでは、クロスオーバーネットワークがキャビネット背面の、ヒートシンクを兼ねた堅牢なアルミニウム製スパイン(背骨)の内部に移設された 14。この変更には3つの明確な利点がある。第一に、キャビネット内部の強力な音圧変動から、コンデンサーなどの繊細な電子部品を物理的に隔離できること。第二に、クロスオーバーが占めていた容積をウーファーのために解放できること。そして第三に、アルミニウム製のスパインが効果的なヒートシンクとして機能し、大入力時でも部品の温度を安定させ、最適なパフォーマンスを維持できることである 4。
IV. 音のタペストリー:主観的リスニング印象
数々の技術革新が、801 D4のサウンドにどのように結実しているのか。世界中の専門家によるレビューを統合すると、その音響的肖像が鮮明に浮かび上がってくる。
全体的なキャラクター:スタジオモニターの血統
801 D4のサウンドは、「絶対的な確信と積極性」に満ちていると評される 6。録音に含まれる「情報の最後の一片まで、余すところなく、文字通り鳥肌が立つほどの即時性をもって」リスナーに届ける 6。これは、優れた録音の美点を引き出す一方で、質の低い録音の欠点も容赦なく暴き出すことを意味する。「そこにあるものが、そのまま聴こえる」のである 18。この忠実性は、プロフェッショナルなスタジオモニターとしての出自を色濃く反映している。
サウンドステージとイメージング:ホログラフィックな窓
レビューで一貫して賞賛されているのが、広大で詳細、かつ揺るぎないステレオイメージの再現能力である。音場はスピーカーの物理的な存在を忘れさせ、高さ、幅、奥行きの三次元にわたって大きく広がる 13。楽器やボーカルはピンポイントで定位し、その前後関係も明確に描き出される。この卓越した空間再現能力は、極限まで高められたキャビネットの不活性、各ユニットの徹底したデカップリング、そして優れた軸外特性の賜物である 1。
低域の応答:パワーと技巧の両立
2基のmm(10インチ)エアロフォイル・コーンが繰り出す低域は、仕様通りHz(dB)まで伸びる「山のような」スケール感を持ちながら 8、同時に「正確で、力強く、インパクトがある」と評価される 21。重要なのは、その圧倒的なパワーが常に厳格なコントロール下にあることだ。レビューでは「タイト」「パンチが効いている」「驚くほど制御されている」といった表現が並び、大型スピーカーにありがちなブーミーさとは無縁であることが示唆されている 22。ただし、不適切な部屋への設置や力不足のアンプとの組み合わせは、そのポテンシャルを損ない、「低音のブーム」を引き起こす可能性も指摘されている 21。
中音域の純度:バイオミメティック革命の具現化
D4シリーズの真骨頂は、この中音域にあると言っても過言ではない。そのサウンドは、信じられないほど透明で、速く、そして純粋であると絶賛されている 22。あるレビュアーは「中域全体にわたって歪みが完全に欠如している」と述べ、その「スピードと明瞭さ」はこれまで聴いたことがないと驚きを隠さない 1。これこそが、バイオミメティック・サスペンションがもたらした聴感上の成果であり、これまで当たり前とされてきた音のヴェールを一枚剥ぎ取ったかのような感覚をもたらす。
高域の伸長とディテール:ダイヤモンドの輝き
ダイヤモンド・ドーム・トゥイーターは、「比類なき音響的ディテール、自然さ、そして広がり」を提供する 14。D4世代への進化により、旧世代で指摘されることがあった「高域の僅かな鋭さ(edginess)が排除された」との評価も見られる 21。一方で、いくつかの測定結果や試聴記では、高域のバランスが「ニュートラルよりもわずかに明るい側にある」とも指摘されており 26、スピーカーのトーイン(内振り角度)やリスニングポジションの高さといったセッティングが、好みのバランスを得る上で極めて重要になる 18。
ダイナミクスとトランジェント:余裕の権威
801 D4は、微細な音のニュアンスから、「恐ろしいほどの大音量」のクレッシェンドまで、あらゆるダイナミックレンジを「平然と」描き分ける能力を持つ 13。特に中域から低域にかけての「楽々としながらもダイナミックなスナップ」は圧巻で、音の立ち上がりと立ち下がりの速さは驚異的である 1。
このスピーカーが提示するのは、興味深いパラドックスである。その技術設計と音響特性は、録音のあらゆる瑕疵を暴き出す、極めて分析的な性質を持つ。しかし、レビューにおける圧倒的なコンセンサスは、その体験が冷たく無機質なものではなく、深く音楽的で、感情的で、聴き手を惹きつけてやまないという点にある 10。これは、B&Wが「極限の解像度が、音楽を解剖するのではなく、音楽そのものに奉仕する」という稀有なバランスを達成したことを示唆している。スピーカーに起因する歪み(キャビネット共振、ドライバーのカラーレーション、スパイダーのノイズ)を限りなくゼロに近づけることは、無菌的なサウンドを生むのではなく、リスナーと録音に込められた感情との間にある障壁を取り除くことに繋がる。801 D4がもたらす「魔法」は、スピーカーによる付加価値ではなく、録音に元々存在したものの「啓示」なのである。これこそが、現代のスーパー・スピーカーを定義する重要な特性と言えるだろう。
リスニング・インプレッション
レビュアー / 媒体 | 引用抜粋 (和訳+原文) |
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The Absolute Sound | 「音楽的に重要な欠陥が一切ないスピーカー」 “a loudspeaker without any musically consequential deficiencies” |
Stereophile | 「これまで聴こえなかったディテールを明らかにすることで、昔のお気に入りを蘇らせる。」 “They make old favorites new again by revealing previously unheard details.” |
Wired | 「801 D4のサウンドは、絶対的な確信と積極性に満ちている。録音に含まれる情報の最後の一片まで、文字通り鳥肌が立つほどの即時性をもって、余すところなく伝えられる。」 “The sound of the 801 D4 is one of absolute conviction and positivity. Every last shred of information contained in a recording is handed over, in full, with the sort of immediacy that can be literally hair-raising.” |
SoundStage! Ultra | 「このスピーカーが中域から低域にかけて放つ、楽々としながらもダイナミックなスナップがある。801の中域と高域が一体となって音波を放つそのスピードは、私が聴いたことのないものだ。」 “There’s an effortless, dynamic snap that these speakers exude from the midrange right up through the lower treble. The speed of the 801’s midrange and tweeter as they combine to launch a wave is like nothing I’ve heard.” |
AudioShark Forum | 「このスピーカーの最新バージョンで行われた改良により、高音域に存在した最後の僅かな鋭さが排除された。中高域の透明性、中立性、ディテール、そしてイメージングは、市場で最高のスピーカーと肩を並べるレベルにある。」 “The improvements made in the latest version of these speakers has eliminated the last bit of edginess that existed in the treble. The transparency, neutrality, detail and imaging of the midrange and treble is right there with best speakers on the market.” |
V. Signatureという名の違い:完璧さへの探求
B&Wのラインナップにおいて、「Signature」の名は特別な意味を持つ。それは、既存モデルをベースに、B&Wが持つすべての知識と技術を制約なく投入し、「最適化」されたバージョンにのみ与えられる称号である 16。それは、一つ一つは僅かなゲインであっても、それらが集積することで、パフォーマンスを「卓越」から「非凡」の領域へと引き上げるための、完璧主義的な探求の成果なのだ 16。
美意識と素材の昇華
専用フィニッシュ
Signatureモデルは、その存在を視覚的にも主張する。11層の塗装とラッカーを18時間以上かけて仕上げる「ミッドナイト・ブルー・メタリック」と、イタリアの専門メーカーALPI社製の突板に14層のラッカーを24時間以上かけて仕上げる「カリフォルニア・バール・グロス」という、二つの特別なフィニッシュが用意されている 1。
コノリー・レザー
アルミニウム製トッププレートの表面は、アストンマーティンやフェラーリといった超高級車に内装を供給することで知られる、コノリー社製のフルグレイン・レザーで覆われる 1。
技術的・音響的強化
アップグレードされたキャビネット構造
Signatureのアルミニウム製トッププレートは、共振をさらに低減するために最適化されたスケルトン構造(肉抜き加工)が施され、内部にはTechsound社製の粘弾性ダンピング材が戦略的に配置されている 16。
より開放的なトゥイーターグリル
トゥイーターを保護するメッシュグリルは、25回もの試作を経て、剛性を維持しつつ音響的な透過性を最大限に高めた新設計のパターンが採用された。これにより、より多くの高周波エネルギーがリスニングルームに放射される 28。
改良されたベースドライバー
2基のmmエアロフォイル・ベースユニットは、モーターシステムがアップグレードされた。トッププレートとミッドプレートに改良された鋼材を使用することでインダクタンスを低減し、電流歪みをさらに抑制している 1。
鋳造アルミニウム製ポート
キャビネット底面から下向きに放射されるフローポートのフレア部分は、標準モデルの樹脂製から鋳造アルミニウム製に変更された。これにより剛性と静粛性が向上し、よりクリーンで正確な低音再生に貢献する 19。
アップグレードされたクロスオーバー
クロスオーバーネットワークには、より高品質なバイパスコンデンサーが採用され、その数も4つから8つへと倍増されている。これにより、さらなるサウンドの純度向上が図られている 16。
音質への影響
両モデルを比較試聴したレビュアーは、Signatureバージョンが「あらゆる面でより優れている」と結論付けている。その改善は「最初は微妙に感じられるが、聴き込むほどにその深遠さが明らかになる」という 13。具体的には、「より大きく、よりクリーンな録音への窓」と表現され、「より鮮明な低音、よりディテールに富み親密な中音域、そしてより鮮やかな高音」が得られると報告されている 13。
表1:B&W 801 D4 vs. 801 D4 Signature — 主要な相違点
この比較表は、極めて高額な投資を検討している潜在的な購入者にとって不可欠な情報を提供する。標準モデルとSignatureモデルの間に存在する、 значительная価格差(米国で約$14,000、日本で約200万円)を正当化する具体的なアップグレード項目を、明確かつ簡潔に一覧化するものである。
特徴 | 801 D4 (標準モデル) | 801 D4 Signature (アップグレード) |
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価格 (ペア) | 約$46,000 USD / 約7,040,000円 (税込) 6 | 約$60,000 USD / 8,470,000円 (税込) 16 |
仕上げ | グロス・ブラック, ホワイト, サテン・ローズナット, サテン・ウォールナット 6 | ミッドナイト・ブルー・メタリック, カリフォルニア・バール・グロス 16 |
トッププレート・トリム | 標準レザー 19 | コノリー社製フルグレイン・レザー 16 |
キャビネット・トッププレート | ソリッド・アルミニウム 14 | 共振制御用の肉抜き加工とダンピング材を備えた最適化アルミニウム 16 |
トゥイーターグリル | 標準固定スチールメッシュ 28 | より音響的に開放的な新設計メッシュパターン 28 |
ベースドライバー・モーター | 標準エアロフォイル・モーターシステム 30 | 改良された鋼材部品を使用したアップグレード・モーターシステム 1 |
バスポート・フレア | 樹脂製 1 | 鋳造アルミニウム製 1 |
クロスオーバー | 高品質コンポーネント 6 | より高品質なバイパスコンデンサーを倍増して使用 16 |
VI. 客観的視点:測定と分析
主観的な印象を裏付ける客観的なデータは、スピーカーの真の性能を理解する上で不可欠である。ここでは、専門誌による詳細な測定結果を分析する。
アンプへの挑戦:インピーダンスとEPDR
公称インピーダンスはとされているが、実際の負荷特性ははるかに複雑である 6。Stereophile誌の測定によれば、インピーダンスの最小値はHzでにまで低下する 26。
しかし、現代のスピーカー評価においてより重要な指標はEPDR(Equivalent Peak Dissipation Resistance:等価ピーク電力損失抵抗)である。これはインピーダンスの大きさと位相角の両方を考慮した、アンプにとっての実質的な負荷を示す。801 D4 SignatureのEPDRは、Hzで、**Hzで**という、極めて低い値を記録している 26。これは、このスピーカーが非常に「電流を要求する(current-hungry)」負荷であることを客観的に示している。
この測定データは、レビュアーやユーザーがなぜ強力で高電流供給能力を持つアンプを必須条件として挙げるのかを科学的に説明するものである 10。このような低いインピーダンス負荷に対して安定して電流を供給できないアンプを使用した場合、音のコンプレッション、低域の制動力の喪失、そして周波数特性の変化といった、聴感上の劣化が顕著に現れることになる 10。
周波数応答と指向性
軸上および軸外の周波数応答グラフは、全体的なバランスがわずかに高域寄りであり、プレゼンス領域(人間の聴覚が最も敏感なkHz〜kHz付近)のエネルギーが若干抑えられていることを示している 26。この特性が、主観的な印象における「明るいが、刺々しくはない」というキャラクターの一因となっている可能性がある。
水平方向の指向性は非常に均一であり、スピーカーの軸から外れた位置でも周波数バランスの崩れが少ない 26。これは、主観的な印象で報告されている、安定し、明確に定義された広大なサウンドステージを裏付ける客観的な証拠である。低域の伸びも測定によって確認されており、-6dBポイントが19Hzという驚異的な値は、メーカーの主張が誇張ではないことを示している 34。
時間領域性能:コヒーレンスとスピード
ステップ応答のグラフは、すべてのドライバーユニットが正の音響極性で接続され、各ドライバーからの出力が次のドライバーの出力へと滑らかに繋がっていることを示している 26。これは、優れたドライバー間の統合と時間的整合性(タイムコヒーレンス)が達成されていることの客観的な証明である。
累積スペクトル減衰(ウォーターフォール)プロットを見ると、トゥイーターがカバーする領域での音の減衰が非常にクリーンであることがわかる 26。これは、聴感上の明瞭さや、ざらつきのない滑らかな高域の質感と相関している。
歪率
dBというかなりの音量で再生した際の高調波歪率は、HzからkHzの帯域で$0.3%$未満という、世界トップクラスの極めて低い値を記録している 6。この低歪率が、スピーカーの持つ驚異的な透明度と明瞭度の基礎となっていることは間違いない。
VII. シナジーの芸術:システムマッチング、設置、そして実用性
801 D4のポテンシャルを最大限に引き出すには、スピーカー本体だけでなく、それを取り巻く環境にも細心の注意を払う必要がある。
アンプ:譲れない必須条件
客観的な測定結果(低いEPDR)と主観的な試聴経験の両方が、強力で高電流供給能力を持つアンプが推奨ではなく「必須」であることを示している 26。潜在的な購入者は、このスピーカーの性能を完全に引き出すために、本体と同等クラスの品質とパワーを持つアンプへの投資を予算に組み込むべきである。このスピーカーをアンダーパワーで駆動することは、その性能を著しく損ない、深い失望に繋がるだろう。ユーザーフォーラムでは、McIntosh、Classé、Block Audioなど、様々なブランドとの相性について活発な議論が交わされている 21。
部屋と設置:パワーの調教
高さmm、幅mm、奥行きmm、そして重量kgという堂々たる体躯を持つ801 D4は、大量の空気を動かす 3。その能力を存分に発揮させ、強力な低域を適切に部屋に統合するためには、中規模から大規模のリスニングルームが望ましい。オーディオショーなどで、狭すぎる部屋に設置された際に「低音のブーム」が報告されていることは、このスピーカーが適切な空間を要求することを示唆している 21。
設置にあたっては、壁から十分に距離を取ることが、低域の過度な強調を避けるための第一歩となる。さらに、レビュアーが指摘するように、トーイン(内振り角度)とリスニングポジションの高さを微調整することが、高域のバランスとサウンドステージの焦点を最適化する上で極めて重要である 18。
保証と長期サポート
B&Wはパッシブスピーカーに対して5年間の製品保証を提供している 35。保証期間内外を問わず、サポートは正規販売代理店や各国のディストリビューターを通じて受けることができる 36。また、保証期間が終了した製品やヴィンテージモデルについては、認定された第三者の修理専門業者によるサービスも存在する 38。
VIII. サウンドの頂:市場コンテクストと競合分析
関連レビュー:競合スピーカー

YG Acoustics Hailey 2.2 レビュー:機械は消え音楽が顕現する
航空宇宙グレードのアルミニウム塊から削り出された筐体、BilletDome™ツイーター、ViseCoil™インダクターが織りなす究極の透明性。YG Acoustics Hailey 2.2が追求する「音響的純粋さ」の真価を、技術と音楽性の両面から徹底検証。

Rockport Technologies Orion レビュー:無共振思想の到達点
163kg超の絶対的無共振キャビネット構造を誇るRockport Technologiesのセミフラッグシップフロア型スピーカー「Orion」を、技術的背景と豊かな聴感描写を交えて徹底検証する。

TIDAL Audio Akira レビュー:世界最大級のダイヤモンド振動板に宿る永遠の透明性
ドイツTIDAL Audioが誇る$215,000のフラッグシップスピーカー。世界唯一の5インチ・ダイヤモンドミッドレンジを搭載し、究極の透明性を追求した音響哲学の結晶。その技術的洞察と音質評価を徹底検証。

Alsyvox Botticelli レビュー:平面駆動が奏でる音響的ルネサンス
スペイン発、イタリアの航空宇宙工学者が設計したリボン型スピーカーAlsyvox Botticelli。平面駆動の歴史的課題を克服し、比類なき透明性とダイナミクスを両立したと評される本機の技術、音響性能、そして市場における存在意義を徹底的に分析・評価。
801 D4は、B&Wの通常生産ラインの頂点に君臨し、エンジニアリング、素材、そしてパフォーマンスが極限まで追求されるエリート「スーパー・スピーカー」カテゴリーで競合する。
競合製品概観
同価格帯および性能レベルにおける主要な競合製品として、以下のモデルが挙げられる。
Wilson Audio Sasha V
Sasha V(前モデルはDAW)は、時間領域の正確性(調整可能なモジュール)、ダイナミックで「ライブ」なサウンド、そして独自の複合素材(X-Material, S-Material)によるキャビネット構造で知られる 40。一部のリスナーからは、より「ウォーム」あるいは「音楽的」なキャラクターを持つと評されることがある 42。
Magico S3 Mk III
Magicoは異なる設計哲学を代表する。オールアルミニウム製の密閉型エンクロージャーによる究極のキャビネット不活性、そしてグラフェンやダイヤモンドコーティング・ベリリウムといった先進素材を駆使したドライバー技術を特徴とする 44。そのサウンドは、極めてニュートラルで透明、かつ高速であると評価される一方、競合製品に比べて寛容さが少なく、より「クール」な音調と感じられることもある 42。
Focal Scala Utopia Evo
Focalは、高い能率、ベリリウム製インバーテッド・ドーム・トゥイーター、そして「W」サンドイッチコーンで知られる 47。そのサウンドは、非常にディテール豊かでダイナミック、そして表現力に富むと評され、明瞭さと即時性を重視した独特の「ハウスサウンド」を持つ 48。
音質的特徴の比較分析
このレベルのスピーカーを選ぶことは、単なる性能の優劣ではなく、音響哲学の選択に他ならない。各モデルは、それぞれ異なる方法で音楽の真実に迫ろうと試みている。
- B&W 801 D4の立ち位置: 801 D4は、スタジオモニターとしての出自を持つ「真実の探求者」である。その最大の強みは、バイオミメティック・サスペンションがもたらす革命的な中音域の透明性と、録音の隅々まで暴き出す解像度にある。しかし、その正直さゆえに、ソースや上流コンポーネントの欠点を容赦なく露呈させる。また、測定上わずかに高域が強調されたバランスは、セッティングに敏感であり、一部のリスナーには「ブライト」と感じられる可能性がある 57。フォーラムでの議論では、B&Wのこのハウスサウンドが、より厳密なニュートラルさを求めるリスナーにとっては好みが分かれる点であることが示唆されている。
- 対 Wilson Audio Sasha V: Wilsonは「ライブ感の演出家」と言える。Sasha Vは、その調整可能なモジュールによる時間領域の正確さと、ダイナミックでエネルギッシュなサウンドで、音楽の「生」の体験を再現することに長けている。B&Wと比較して、より「ウォーム」で音楽的なキャラクターを持つと評されることが多く、これは意図的に調整された周波数特性(わずかな中低域の豊かさと高域の柔らかさ)に起因する可能性がある。この味付けは、多くの録音を心地よく聴かせる長所となる一方で、B&WやMagicoが追求する厳密な忠実性を求めるリスナーからは、一種の「カラーレーション」と見なされるかもしれない。
- 対 Magico S3 Mk III: Magicoは「静寂の求道者」である。オールアルミ製の密閉型エンクロージャーは、B&Wがマトリックス構造で目指したキャビネットの不活性を、異なるアプローチで極限まで推し進めたものだ。その結果生まれるのは、背景ノイズが極めて低く、微細なディテールが浮かび上がる、驚異的な透明感である。そのサウンドは、競合の中で最もニュートラルでリニアと評される。しかし、その代償として、密閉型特有の締まりすぎた低域は、B&Wのポート型が持つ量感や「パンチ」を好むリスナーには物足りなく感じられることがある。また、その極端なまでの解像度は、システム全体の質を厳しく問い、相性が悪いと「無機質」「クール」なサウンドに陥る危険性も指摘されている。
- 対 Focal Scala Utopia Evo: Focalは「情熱の表現者」だ。ベリリウム・トゥイーターと高い能率を武器に、鮮烈でダイナミック、そしてディテールに富んだサウンドを提供する 49。そのプレゼンテーションは、B&Wよりもさらに前面に出てくるような積極性を持ち、音楽の持つエネルギーや情熱をストレートに伝える魅力がある。しかし、この明確な「ハウスサウンド」は諸刃の剣でもある。一部のリスナーは、その高域のキャラクターを「ブライト」あるいは「刺激的」と感じ、長時間のリスニングでは疲労を覚える可能性を指摘している。B&WのD4世代が旧世代の「鋭さ」を克服したと評されるのとは対照的かもしれない。
結論として、801 D4は分析的な正確さと音楽的な豊かさという、相反する要素を極めて高いレベルで両立させている。Wilsonはより情熱的でライブな体験を、Magicoはより静寂で純粋な音場を、Focalはより鮮烈でダイナミックな表現を、それぞれ得意とする。どのスピーカーが「最良」かは、最終的にリスナーが何を最も価値あるものと見なすかという、哲学的な問いに帰結するのである。
表2:B&W 801 D4 vs. 主要競合製品 — 思想と技術のスナップショット
この比較表は、801 D4の独自の価値提案を理解するための重要な市場コンテクストを提供する。各ブランドの核心的な設計思想、使用素材、そして主要な仕様を比較することで、最先端のサウンドを実現するためのアプローチが複数存在し、それぞれに独自のキャラクターとトレードオフがあることを示している。
特徴 | Bowers & Wilkins 801 D4 | Wilson Audio Sasha V (DAW準拠) | Magico S3 Mk III | Focal Scala Utopia Evo |
---|---|---|---|---|
核心思想 | 反復的エンジニアリングによる洗練、キャビネットの不活性、自社製ドライバー | 時間領域整合性、モジュラーデザイン、独自複合素材 | 材料科学、密閉型アルミ筐体、究極のニュートラル | 高効率ドライバー、ダイナミックな表現力、「Focus Time」整合 |
筐体素材 | プライウッド/MDF リバース・ラップ、アルミ・マトリックス/トッププレート 11 | 独自複合素材 “X-Material” & “S-Material” 40 | 機械加工アルミニウムパネル 45 | 高密度MDF “Gamma Structure” 48 |
トゥイーター | 1インチ ダイヤモンド・ドーム | 1インチ テキスタイル・ドーム 41 | 1.1インチ ダイヤモンドコーティング・ベリリウム・ドーム 45 | 1.1インチ ベリリウム・インバーテッド・ドーム 47 |
ミッドレンジ | 6インチ コンティニュアム・コーン | 7インチ 紙/セルロース複合材 41 | 5インチ グラフェン/カーボンファイバー・サンドイッチ 45 | 6.5インチ ‘W’ サンドイッチコーン 47 |
ウーファー | 2 x 10インチ エアロフォイル・コーン | 2 x 8インチ ペーパーコーン 40 | 2 x 9インチ グラフェン・ナノテック 45 | 1 x 11インチ ‘W’ サンドイッチコーン 47 |
バスレフ方式 | ベンテッド (下方フローポート) | ベンテッド (リアポート) 40 | 密閉型 (アコースティック・サスペンション) 51 | ベンテッド (ラミナーポート) 47 |
能率 | 90dB | 約91dB 40 | 88dB 45 | 92dB 47 |
最小インピーダンス | 3.0Ω (EPDR 約1.24Ω) | 約2.48Ω 40 | 4Ω (公称) 45 | 3.2Ω 47 |
重量 (1台) | 100.6 kg 6 | 約107 kg 52 | 101 kg 53 | 85 kg 48 |
評価
評価軸 | 採点 (5点満点) | 解説 |
---|---|---|
技術性能 | ★★★★★ | バイオミメティック・サスペンションや究極のマトリックス構造など、業界をリードする革新技術を満載。測定値は極めて低歪みで、エンジニアリングの頂点を示す 11。 |
音楽的魅力 | ★★★★★ | 分析的な能力を持ちながら、その本質は深く音楽的で感情に訴えかける。録音の核心にある芸術性を余すことなく引き出し、リスナーを魅了する 10。 |
ビルドクオリティ | ★★★★★ | 完璧な仕上げ、コノリー社製レザーなどの高級素材の使用、そして100kgを超える重量が示すように、その作りはまさに工芸品の域に達している 12。 |
価格対価値 | ★★★★☆ | 絶対的な価格は非常に高いが、その性能はさらに高価な競合製品としばしば比較される。フラッグシップ機としての価値は高いが、必須となるアンプへの投資も考慮する必要がある 18。 |
将来性 / 修理性 | ★★★★☆ | B&Wは5年間の保証を提供し、長い歴史を持つためサポート体制は確立されている。しかし、独自技術の塊であるため、保証期間外の修理は高額になる可能性がある 35。 |
IX. 結論:不滅のアイコン
801 D4は、科学主導のホリスティックなエンジニアリングの勝利である。それは、計り知れないパワーと繊細さを兼ね備えたスピーカーであり、その決定的な特徴は、あらゆる人工的な要素を剥ぎ取り、音楽演奏の核心を露わにする深遠な透明性にある。
801 D4は、その象徴的なレガシーを疑いなく継承し、さらに発展させている。最先端の解像度と豊かな音楽性を融合させた、真のリファレンスレベルのトランスデューサーである。
しかし、この卓越したパフォーマンスには厳しい要求が伴う。理想的な所有者は、カジュアルなリスナーではなく、その潜在能力を完全に解き放つために必要な、高品質なアンプと慎重なセッティングへの投資を理解し、厭わない献身的なオーディオファイルである。そのようなユーザーにとって、Bowers & Wilkins 801 D4は単なるコンポーネントではなく、一つの到達点であり、文字通り「鳥肌が立つ」ような最先端のリスニング体験を提供する、生涯の伴侶となりうる「終着点」のスピーカーなのである 6。
推奨ユーザー
- おすすめしたい人: 録音の隅々まで忠実に再現する、究極の透明性を求めるオーディオファイル。大規模なリスニングルームと、スピーカーのポテンシャルを最大限に引き出すためのトップクラスの増幅装置への投資を惜しまない人 18。
- やめた方が良い人: 小〜中規模の部屋で音楽を聴く人、予算が限られている人、または暖かく、録音の粗を許容するような forgiving なサウンドを好む人。このスピーカーはソースの欠点を容赦なく暴き出す 21。
総合評価: ★★★★★
引用文献
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